第2回「なごや城」

第2回『なごや城』

目次

名古屋城には那古野(なごや)城があった⁉

 
ランラン

今日、名古屋城に行ってきたよ。徳川家康が建てたお城なんだって。

豪華(ごうか)なお城だったでしょ?

ワイファイ
ランラン

うん。あと、二之丸(にのまる)庭園っていう豪華なお庭もあったよ。
昔そこに、「那古野城」っていう別のお城があったんだって。

え!「那古野城」?
同じ「なごやじょう」なのに、漢字が違うね。どうしてだろう?

ワイファイ
ランラン

じゃあ今日は、「那古野城」について、学んでみよう!

信長が住んでいた那古野城ってどんな城?

「那古野城」は、金のシャチホコで知られる「名古屋城」が建つ場所に、室町時代からあったお城です。駿河国(するがのくに、現在の静岡県中部)を支配していた今川氏が、「尾張(おわり、現在の愛知県西部)にも支配する範囲を広げたい!」と考えて、建てたお城だといわれています。当時は「柳之丸(やなぎのまる)」という名前で呼ばれ、長い間今川氏が住んでいました。
しかし、そのお城をのちに織田信長のお父さんである信秀(のぶひで)が狙います。

周辺の土地を支配したいため、柳之丸を手に入れようと考える信秀。今川氏の歌好きを知り、「自分も歌が好き!」といって近づきます。次第に、柳之丸に泊まるようになり、専用の部屋までもらえるほど仲良しに。
そんなある日、病気を理由に仲間を部屋に呼び、お城の外には大勢の兵を内緒で待機させていた信秀。今川氏が油断しているすきに一気に攻め入り、だまし討ちにして追放。お城を乗っ取ってしまいます。

お城を手に入れた信秀は、当時の地名から「那古野城」と名前を変更。息子の信長をお城の主(あるじ)にします。青春時代を那古野城で過ごした信長は、馬で近くの山や川を走り抜け、戦いごっこを繰り返すやんちゃな毎日を送っていたそう。
しかしその後は、攻めて手に入れた清洲(きよす)城へとお引っこし。那古野城には少しの間は人が住んでいましたが、やがて誰も住んでいないお城となって荒れ果ててしまいました。

なごや城の移り変わり

  • 1521~28(大永年間)年…今川氏が柳之丸を建てる
  • 1538(天文7)年頃…織田信秀が柳之丸をうばい、那古野城と名付ける
  • 1546(天文15)年頃…織田信長が城の主になる(異説あり)
  • 1555(弘治元)年…信長が清洲城へ引っこし
  • 1582(天正10)年…那古野城は誰も住まなくなり、廃城となる
  • 1609(慶長14)年…徳川家康が、那古野城跡に名古屋城築城を決定

那古野城の跡地(あとち)に名古屋城が建てられたのはなぜ?

那古野城の跡地

写真提供:名古屋城総合事務所

荒れ果ててしまった那古野城。その地に名古屋城が建つきっかけとなったのは、地形です。江戸時代に入って徳川家康は、関ケ原の戦いに勝ったとはいえ、「いつか豊臣が攻めてくるかも」と不安でいっぱいに。そして、「戦いには備えが必要!大坂と江戸を結ぶ東海道の守りを固めておかなければ」と思いつきます。

その頃、家康が重要な場所としていた清洲城は平らな土地に建てられていたので、水で攻められたら大打撃(だいだげき)!という、戦いには向かない立地でした。そこで、那古野城が建っていた場所に再び注目が集まります。家康は天下統一のため、地盤(じばん)が強く高台にあり、東へも西へも行きやすい、つまり戦いに向いている場所にお城を建てることを決めたのです。

そうして那古野城と同じ場所に名古屋城が建てられた、というワケです。

名前は「那古野城」から「名古屋城」に変えられ、那古野城の名は消えてしまいましたが、「那古野」の地名は今でも名古屋城の西南に残っています。ただし、明治以降「なごの」と読まれるようになりました。

現在の名古屋城の二之丸庭園内には、昔那古野城があったことを示す石碑(せきひ)があります。戦争で攻撃(こうげき)されて文字が欠けていますが、「那古」の文字は確認できます。金のシャチホコで有名な名古屋城に行ったら、那古野城の石碑にも注目してみましょう!
※歴史的記述に関しては、諸説(しょせつ)あります。

ランランちゃんランランちゃんの
今日のまなび

  • 名古屋城の場所に、昔那古野城というお城があった

  • 那古野城では、織田信長が青春時代を過ごした

  • 戦いに向いている場所だから、同じ場所に名古屋城を建てた

取材協力

名古屋城

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所
名古屋市の組織。名古屋城の案内や観光客へのおもてなし、たくさんお城に来てもらうための宣伝、お城をきれいに保つための管理や整備などさまざまなことをしています。

写真提供:名古屋城総合事務所

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参考文献
・『名古屋城なるほどなっとく検定 知れば知るほど、好きになる』(名古屋城検定実行委員会)
・『東海の城物語 –戦国時代を中心に–』(中日新聞本社)
・『近世城郭の最高峰 名古屋城』(名古屋城検定実行委員会)

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