第4回「岐阜の鵜飼」

第4回『岐阜の鵜飼』

目次

岐阜の「鵜飼(うかい)」はどうしてはじまったの?

岐阜県では昔から、夜の川でアユをとる方法があるんだって。

ワイファイ
ランラン

魚なのに「とる」?「つる」じゃないの?

そう。「鵜飼」といって、鵜という鳥をあやつって、アユをつかまえる方法なんだよ。

ワイファイ
ランラン

鳥を使って!?すごいね~!
でも、どうして岐阜県ではそんなふうにアユをとるようになったの?

もしかすると歴史をたどれば、ひみつがわかるかもしれないね!
じゃあ今回は、鵜飼の歴史を学んでみよう!

ワイファイ

鵜飼は信長も愛した「おもてなし」だった?

鵜飼とは、鵜という水鳥を使ってアユをとる、伝統的な漁の方法のこと。「鵜匠(うしょう・うじょう)」とよばれる職人が、飼いならした鵜を上手にあやつり、アユをつかまえます。

小さな船の上で照らされる、真っ赤な「かがり火(夜の漁で照明代わりになる火)」。この明るい光にアユがおどろき、水面から飛びはねたところを鵜が長いくちばしでキャッチ!一気に飲みこみ、すぐに船の上にはき出させることでアユの体をきずつけずに、新鮮な状態でとれるという仕組みです。

伝統ある鵜飼は、なんと古墳(こふん)時代がはじまり。全国各地にある古墳から、鵜飼を表現した埴輪(はにわ)が発見されていることがその理由です。

そんな鵜飼は現在も、愛知県の木曽川や山梨県の笛吹(ふえふき)川など全国11か所で行われています。アユがおいしく育つ条件は、すきとおるような美しい川。つまり、鵜飼が行われている場所は、今でもきれいな川が保たれている証拠(しょうこ)ともいえるでしょう。

岐阜県の長良川も「名水百選」のひとつに選ばれるほどのきれいな川。1300年以上続く「ぎふ長良川の鵜飼」が文化として根付くにふさわしい環境だったというワケです。

夏のイベントとして古くから親しまれてきた、ぎふ長良川の鵜飼。織田信長や徳川家康といった武将や文化人も絶賛し、見物におとずれたとされています。

特に信長は息子が婚約(こんやく)したとき、祝いにおとずれた使いの人を鵜飼の観覧に招待しています。信長にとって鵜飼は「おもてなし」のひとつ。鵜飼を文化として守るため、鵜をあやつる人々を「鵜匠」と名付けたのも信長でした。

また、昔は長良川を使って船で物を運んでいたため、川沿いの町は川湊(かわみなと)として栄えました。現在は「川原町(かわらまち)」とよばれ、観光地になっています。こうして、長良川の鵜飼は岐阜県に根付き、長く愛される伝統文化に発展したのです。

 

初夏の味覚!岐阜の清流で親しまれるアユ

鵜飼が行われる岐阜県では毎年、5月中ごろから秋ごろまで天然のアユ料理が楽しめます。
アユを丸ごと串(くし)にさした塩焼きは、たっぷりとあぶらがのった身や香りが楽しめる名物料理です。

天然のアユは1年を通して、若アユから子持ちアユへと成長します。そのため季節ごとのアユの大きさや味わいを生かした食べ方が次々と発明され、アユ料理のレパートリーが増えていきました。これが、岐阜県でアユ料理が発展した理由だと考えられています。

では、ここで季節ごとのアユの特長と、おいしい食べ方を見ていきましょう!

季節ごとのアユの特長

  • 若アユ…5~7月にとれる小ぶりなアユ
    ほねがやわらかく丸ごと食べられるので天ぷらにピッタリ

  • 成魚…7~8月にとれるあぶらがのったアユ
    塩焼きで楽しむことが多い

  • 子持ちアユ…9月後半から増えるたっぷりとタマゴをもったメスのアユ
    田楽(でんがく)や甘露煮(かんろに)がおすすめ

「川原町泉屋」で天然アユ料理を楽しもう!

こうした岐阜県ならではのアユ料理を味わえるのが、アユ料理店「川原町泉屋」。鵜飼見学が楽しめる川原町にあります。

塩焼きはもちろん、ラーメンやぞうすい、ピザなど現代風にアユをアレンジしたオリジナルメニューがもりだくさん。子どもやアユ料理がはじめての人でも、気軽に味わえます。

川原町は、江戸時代のふんいきが残る古い町なみ。古い建物を使ったカフェや雑貨店などもならびます。ぜひアユ料理や鵜飼見学とあわせて、散策してみてくださいね。

 

夜の長良川に出発!観覧船で鵜飼の歴史や文化にふれよう

鵜飼を見学するなら川岸からながめるのもよいですが、観覧船に乗るのもおすすめです。

観覧船からは鵜をあやつる鵜匠の技や、鵜がアユをとらえるところを間近で見ることができます。鵜飼がはじまる合図として打ちあがる花火も迫力(はくりょく)満点。夏の思い出にもピッタリですね。

「鵜飼観覧船事務所」のある川原町の近くでは、赤くにごった湯の色が特長の長良川温泉も有名です。鵜飼見学とあわせて川原町散策や温泉も楽しんでみてはいかがでしょう。長良川ぞいの旅館・ホテルでは、鵜飼観覧船や近くの観光も楽しめるプランを用意しているようです。

ぎふ長良川の鵜飼は、毎年5月11日~10月15日に行われています。家族や友だちと、ぜひ一度おとずれてみてくださいね。

ランランちゃんランランちゃんの今日のまなび

  • 全国の古墳で鵜飼を表現した埴輪が発見されている

  • 岐阜県で鵜飼が発展した理由は、きれいな水が流れる長良川のおかげ

  • 天然アユがとれる岐阜県では、アユの成長に合わせたおいしい食べ方を発明してきた

 

取材協力

岐阜市ぎふ魅力づくり推進部 鵜飼観覧船事務所

6名の鵜匠が伝統の技を見せる「ぎふ長良川の鵜飼」を間近で見られる観覧船を運航します。乗船客と観覧船の数は日本一の多さです。

ホームページ

公益財団法人 岐阜観光コンベンション協会

岐阜市の観光名所や飲食店、名産品などの情報を発信する団体。観光サイト「岐阜市漫遊」では、季節のイベントなども紹介しています。

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川原町泉屋

鵜飼観覧船の乗り場近くにあるアユ料理の専門店。長良川でとれる天然アユを使った塩焼きやラーメン、ピザなどの豊富なアユ料理をそろえています。

ホームページ

参考サイト
・ぎふの旅ガイド
https://www.kankou-gifu.jp/article/ayu/top/

・世界農業遺産 清流長良川の鮎
https://giahs-ayu.jp

・長良川温泉
http://nagaragawa.org/ukai01

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