
第23回『味噌煮込みうどん』
目次
味噌煮込(みそにこ)みうどんはなぜ麺(めん)が硬(かた)いの?
味噌煮込みうどんは豆味噌文化の代表的な料理
「なごやめし」として知られる味噌煮込みうどんは、江戸(えど)時代のころから日本各地にあった、小麦粉で練った生地をなべに放り込んで煮るそぼくな家庭料理が原型とされています。
味噌煮込みうどんに使われている豆味噌は、赤味噌ともよばれ、愛知県を代表する調味料です。豆味噌の中で特に有名な八丁味噌(はっちょうみそ)は、江戸幕府(ばくふ)を開いた徳川家康の生まれた岡崎城から西に八丁(約 870m)はなれたところにある、八丁村[現在の岡崎市八丁町(はっちょうちょう)]で生まれました。
八丁味噌は濃厚な味わいで色味が濃(こ)く、ほかの味噌と比べても栄養価が高いことが特徴(とくちょう)です。愛知県東部の三河地方では、健康効果もふまえた豆味噌文化が強く根付いていました。味噌煮込みうどんは、その代表的な郷土(きょうど)料理のひとつと言えるでしょう。
煮込んでもコシが残る独特の硬さが魅力(みりょく)
味噌煮込みうどんと言えば、独特な麺の硬さは大きな特徴でしょう。県外の人は、初めて食べておどろく人も多いそうです。
では、なぜそんなに硬いのでしょうか?それは、一般的(いっぱんてき)なうどんとは違(ちが)い、塩を使わずに小麦粉と水だけで作られているからなのです。
塩を使わないことで、煮込んでもやわらかくなりにくく、しっかりとコシが残り、独特なかみごたえに仕上がります。また、豆味噌仕立ての味の濃いつゆに、直接生麺を入れても塩からくなりません。豆味噌は煮込んでも風味が落ちにくいのもポイントです。
現在の、太くて硬い麺を 1 人前用のなべで煮込むスタイルは、名古屋の大須(おおす)にあった「山本屋」が大正期に開発したものとされています。
アツアツの味噌煮込みうどんを食べに行こう!
写真提供:なごやめし普及促進協議会
味噌煮込みうどんが食べられるお店は愛知県各地にあり、県内の多くのうどん店で食べることができます。店によって味付けや具材がちがうので、さまざまな店の味噌煮込みうどんを食べ比べるのも楽しみのひとつです。
味噌煮込みうどんの老舗(しにせ)である山本屋本店なら、名古屋駅や栄など名古屋市内に複数店舗(てんぽ)を構えているので、名古屋をおとずれた際に立ち寄るのもおすすめですよ。土鍋(どなべ)を直接火にかけて作る味噌煮込みうどんは、アツアツの状態で出てくるので、ふたに取り分けて、ふうふうと冷ましながら食べてみてくださいね!
山本屋本店では、季節の食材を楽しめるバリエーション豊かな味噌煮込みうどん も登場するので、四季折々の味を楽しむこともできます。
本場のアツアツな味噌煮込みうどんを食べに、名古屋へ行ってみてはいかかがでしょうか。
味噌煮込みうどんの楽しみ方あれこれ
- アツアツのうどんをふたに少しずつ取り分け、冷ましながらいただく
- うどんを食べ終わった後の濃厚なつゆにごはんを入れておじや風に
- 卵(たまご)を白ごはんにのせ、つゆを上からお好みでかけて
ランランちゃんの
今日のまなび
-
江戸時代から家庭で食べられていた料理が味噌煮込みうどんの原型
-
塩を使わず小麦粉と水のみで作る麺は、煮込んでもやわらかくなりにくく独特の硬さが残る
-
味噌煮込みうどんは愛知の豆味噌文化を代表する「なごやめし」
取材協力

山本屋本店
1907(明治 40)年創業(そうぎょう)の味噌煮込みうどん専門店。名古屋市内を中心に店舗を展開(てんかい)。伝統的な手打手法と素材にこだわった、創業当時からの手作りの味を楽しむことができます。

なごやめし普及促進協議会
「なごやめし」の魅力(みりょく)をPRし、国内外の観光客をよびこむために活動。豆知識や、家庭でまねできるレシピなどをホームページやSNSで紹介(しょうかい)しています。