井端が斬る! ドラゴンズ2022 投手陣編

井端が斬る! ドラゴンズ2022 投手陣編

「3代目ミスタードラゴンズ」と呼ばれた立浪和義監督を迎え、新たなスタートを切った2022シーズンのドラゴンズ。「低迷が続くドラゴンズを再建してくれるはず」とファンの期待が高まりましたが、優勝した東京ヤクルトスワローズと15ゲーム差の最下位に終わりました。
思うような結果が出なかった要因は? シーズン開幕前、ドラゴンズの優勝を予想していたというOBの井端弘和さんに、2022年のドラゴンズの戦いぶりを3回に渡って振り返ってもらいます。1回目は投手編です。

※本インタビューは2023年1月に実施いたしました。


安定感はバツグン 期待通りの活躍を見せた盤石の投手陣

2022シーズン、井端さんがドラゴンズの優勝を予想した理由は「質量ともに豊富な盤石の投手陣が揃っている」から。「打線はそれほど打てないとは予想していましたが、それでも投手が良いのである程度勝ちを拾っていけるのではないかと思っていたのですが、ここまで点が奪えないとは…。投手陣は数字も悪くないですし、若手の台頭もありましたし、決して悲観することはありません。2023シーズンに期待が持てる内容でした」

井端さんが言うと、説得力があるから不思議です。

では数字とともに、2022シーズンの投手陣を振り返りましょう。

2022シーズンのドラゴンズのチーム防御率は3.28で阪神タイガースに次いで2位の好成績。先発投手の防御率3.46、救援投手の防御率2.93も2位でした。

さらに細かく見ていくと、被安打数1114本はリーグ最少、奪三振数1050はリーグ最多など、軒並み良い数字が並びました。これらの数字から、2022シーズンのドラゴンズ投手陣はいかに相手打線を押さえ込んでいたか、ということが読み取れます(逆に言うと、いかに攻撃陣が点を取れなかったかということになりますが、この話は次回井端さんに詳しく解説してもらいましょう)。

さまざまな数字の中で特に井端さんが注目した数字は、先制点をとった時の勝率。ドラゴンズは先制すると強く、53勝18敗勝率.746でセリーグトップの好成績でした。「先に1点でもとってしまえば、7割5分の確率で勝てるという、この数字が全てを物語っていますよね。極端な話ですが、とにかく先制点を挙げることに全力を尽くし、先に点を取ったらあとは投手の力で勝つという野球に徹すれば少なくともAクラスにはなっていたと思います」

先発投手:マークが厳しく大野、柳の勝ち星は伸びず 小笠原や高橋宏斗など若手の台頭が目立つ

ここからは選手個々の数字を見ていくことにしましょう。まずは主な先発投手の個人成績です。

大野雄大 8勝8敗 防御率2.46

柳裕也 9勝11敗 防御率3.64

小笠原慎之介 10勝8敗 防御率2.76

高橋宏斗 6勝7敗 防御率2.47

松葉貴大 6勝7敗 防御率3.33

左右のエースとして活躍が期待された大野雄大選手と柳裕也選手は、思ったほど勝ち星が伸びず、2人とも二桁勝利に届きませんでした。そればかりか、貯金を作ることもできず、柳選手に至っては2つ負け越しという物足りない成績に終わっています。

この理由について井端さんは「対戦相手が大野選手と柳選手を攻略するための対策を練ってきたからではないか」と分析しました。「プロ野球の世界はいたちごっこ。2年連続で同じ選手にやられるわけにはいかないので、前のシーズンに良い成績を残した選手は徹底的に丸裸にされます。大野選手と柳選手は相当マークがきつかったのだと思います。2023シーズンは2人の巻き返しを期待したいですね」

実績のある2人が苦しむ中、小笠原選手がプロ7年目にして初の二桁勝利を達成。2年目の高橋宏斗選手も大ブレイクするなど、若手の台頭が目立つシーズンでもありました。「2023シーズンは小笠原選手と高橋宏斗選手が左右のエースとして3連戦の頭で投げてほしいですね。大野選手、柳選手が2戦目、3戦目で投げると勝ちを拾える可能性が高くなるので、常に2勝1敗が狙えるローテーションが組めるはずです」

リリーフ:ロドリゲスの中継ぎ転向が大成功 投手・根尾の表情に注目

7回 清水達也 54試合 3勝3敗1S 32H

8回 ジャリエル・ロドリゲス 56試合 6勝2敗 39H

9回 ライデル・マルティネス 56試合 4勝3敗 39S 5H

2022シーズンは清水達也選手、ジャリエル・ロドリゲス選手、ライデル・マルティネス選手の3人による勝利の方程式が確立。ロドリゲス選手は最優秀中継ぎ投手、マルティネス選手はセーブ王のタイトルを獲得する活躍を見せています。

「8、9回に逆転されるとチームがガクッときますが、磐石な2人がいて助かりました。特に8回は4打席目の上位打線が回ってくることが多いので、抑えるのが大変ですが、中継ぎに転向したロドリゲスが頑張りましたね。清水を含めた後ろの3人は球が速く、空振りを取れる変化球もあるので、対策を立てるのは難しいと思います。2023シーズンも期待通りの働きを見せてくれることでしょう」

最後に、この人の評価を聞かないわけにはいきません。シーズン途中に投手へ転向した根尾昂選手は井端さんの目にはどのように映ったのでしょうか。

「内野をやったり、外野をやったり、投手をやったり、チームの都合でいろいろなポジションをやらされて少しかわいそうな気がしています。入団時に本人が『ショートをやりたい』と言っていたので、ショート1本でやらせてあげてもよかったのではと思わなくはないですが。投手としてマウンドに上がっている時の表情が一番生き生きとしていたので本人も吹っ切れているのでは。良い球を投げるので、投手として大成できるよう応援していきたいですね」

次回は井端さんによる2022年の振り返り 野手編をお届けします。

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