eスポーツの主なジャンルとタイトルまとめ(後編)

eスポーツの主なジャンルとタイトルまとめ(後編)

一口に「eスポーツ」と言っても、その内容はさまざま。
実際のスポーツでも「球技」や「陸上」、「野球」や「マラソン」と区別するように、eスポーツにもさまざまなジャンルやタイトルが存在します。
今回は前編に引き続き、eスポーツとして人気のタイトルを中心に紹介していきます。

 

◆シューティングゲーム(FPS/TPS)

シューティングゲームは、銃を持ったキャラクターを操作して戦うゲームのジャンルです。

 

日本では1980年頃から『スペースインベーダー』や『グラディウス』が大ブームになりましたが、これらは2Dシューティングに分類されます。
一方で、技術の発展とともに今もなお進化を続けているのがゲーム内で3Dの表現が可能になった3Dシューティングです。

 

また、3Dシューティングの中でも操作キャラクターの目線で進めていくFPS(ファーストパーソンシューター)と、操作キャラクターの背中が見えるような目線で進めていくTPS(サードパーソンシューター)のふたつに大別されます。

 

以下、代表的なシュ-ティングゲームの一部をご紹介します。

 

●Quake(1996年~)

Quake Steamページから引用

 

1990年代はFPS黎明期で、PCで動作するタイトルの開発が盛んでした。
中でも完全3DのFPSタイトルとして注目を集めたのがid Softwareの『Quake』です。

 

『Quake』にはダークファンタジーをテーマにした1人用モードに加えて、当時としては画期的なインターネット対戦システムが実装されており、現在の対戦型FPSは少なからず影響を受けているといっても過言ではありません。

 

そんな『Quake』シリーズはアリーナ系FPSとして独自進化を続けており、2022年8月にも『Quake Champions』をリリースしています。
ちなみに初代『Quake』を忠実に再現しつつビジュアルを改良したリマスター版がSteamで配信されています。

 

●カウンターストライク(2000年~)

Counter-Strike: Global Offensive Steamページから引用

 

FPS黎明期には、既存のゲームにオリジナルのシナリオやグラフィック、システムを追加・変更する改造データを導入して楽しむMOD文化も盛んでした。
インターネットの影響力が大きくなった現代において、MODはメーカーの黙認または禁止となる場合がほとんどですが、『ハーフライフ』のMODとして登場したものの、あまりにも高い完成度と人気をうけてメーカーからの正式な後援によって製品化されたFPSが『カウンターストライク』です。

 

現在は『Counter-Strike: Global Offensive』の人気が根強く、メジャー大会「IEM Rio Major 2022」の賞金総額が125万ドル(約1億7000万円)になったことも話題になりました。
『カウンターストライク』シリーズを開発・運営しているValve Corporationは、世界最大規模のゲーム配信サービス「Steam」を運営していることでも知られています。

 

●バトルフィールド(2002年~)

バトルフィールドシリーズ公式サイトから引用

 

2002年にDICEが開発した『バトルフィールド1942』は、プレイヤーは歩兵としてだけではなく戦車や航空機といった乗り物の操縦も可能な対戦型FPS。
タイトルにある通り第二次世界大戦中の設定で、連合国軍と枢軸国軍の戦いを再現しています。

 

2005年発売の『バトルフィールド2 モダンコンバット』以降は家庭用ゲーム機への展開にも注力し、後述する『コールオブデューティー』シリーズと並ぶビッグタイトルになりました。

 

バトルフィールド 2042公式サイトから引用

2021年に発売した『バトルフィールド 2042』では広大な戦場で最大128人対戦が可能になり、激しい銃撃や爆撃など戦争のスリルを味わえます。
ただし大人数の同時プレイを前提に開発されているため、公式大会などのeスポーツ展開は控えめです。

 

●コールオブデューティー(2003年~)

コールオブデューティ モダン・ウォーフェア II公式サイトから引用

 

2003年にInfinity Wardが開発したFPSの『コールオブデューティー』はPCおよび家庭用ゲーム機への展開で大成功を収めました。
2006年に発売した続編の『コール オブ デューティ2』以降は現在まで1年に1タイトル以上をコンスタントに発売しており、2021年4月にはシリーズ累計販売本数が4億本を突破したことも発表されています。

 

タイトルによって異なりますが基本的には4対4や5対5の少数戦で試合展開も早いため、スポーツのような要素が大きいです。

 

FPSの知名度が低かった2010年頃の日本国内においてもコミュニティ大会を中心にeスポーツの取り組みが積極的に行われており、2023年6月に行われた公式大会「Call of Duty League Championship 2023」では賞金総額238万ドル(約3億3000万円)にのぼったことからもその人気が伺えます。

 

●スプラトゥーン(2015年~)

スプラトゥーン製品ページから引用

 

2015年に任天堂から『スプラトゥーン』が発売されました。
日本で開発される3Dシューティングゲームは極端に数が少ないなか、マリオシリーズやゼルダの伝説シリーズなどで世界的な人気を誇る任天堂が開発するTPS(公式のジャンル呼称はアクションシューティング)として発売前から注目を集めます。

 

プレイヤーはそれぞれ個性的なブキを持ち、弾ではなくインクを撃ち合ってマップのより大きな面積を塗ったチームの勝利という分かりやすいルールが話題に。
それまで大人向けとされていた3Dシューティングゲームが幅広い世代に浸透するきっかけにもなりました。

 

2022年9月に最新作『スプラトゥーン3』が発売され、2023年12月には初の公式大会「スプラトゥーン甲子園2023 全国決勝大会」が行われます。

 

●オーバーウォッチ(2016年~)

オーバーウォッチ製品ページから引用

 

2016年にブリザード・エンターテイメントが開発した『オーバーウォッチ』
それまでのFPSは使用する銃器やマップで差別化を図っていましたが、『オーバーウォッチ』では個性的な特殊能力をもつキャラクター同士が戦うという新鮮なシステムが人気を集めました。

 

オンライン対戦を前提に開発されており、ゲームの高い競技性と「オーバーウォッチ・リーグ」や「オーバーウォッチワールドカップ」といった公式リーグや公式大会の展開もその人気を加速。
続編の『オーバーウォッチ2』は基本プレイ無料で運営されています。

 

●PUBG: BATTLEGROUNDS(2017年~)

PUBG: BATTLEGROUNDS Steamページから引用

 

2017年3月にアーリーアクセス版として公開された『PUBG: BATTLEGROUNDS(旧名称:PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)』は100人のプレイヤーが最後の1人になるまで戦うバトルロイヤル系のTPS(のちにFPSモードが実装)です。

 

最後の1人になるまで戦うという分かりやすいルールと、ほかでは味わえない究極の緊張感が話題になり、Steamでは2018年1月に同時接続プレイヤー数323万6027人という歴代最高記録を達成しています。

 

現在では『PUBG Mobile』や『NEW STATE MOBILE』といったスマートフォン向けタイトルも支持を集めており、「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE」は日本国内最大規模のeスポーツリーグとして盛り上がっています。

 

●フォートナイト(2017年~)

フォートナイト公式サイトから引用

 

2017年にEpic Gamesが公開したTPS『フォートナイト』は、当時大流行していたバトルロイヤルジャンルに親しみやすいグラフィックと“建築”という独自のシステムを導入したことで人気を集めました。

 

先述した『PUBG: BATTLEGROUNDS』がPC向けタイトルとしてリリースされたのに対して、『フォートナイト』はPlayStation 4とXbox Oneにも対応していたため家庭用ゲーム機ユーザーを巻き込むことに成功。
メタバース的な側面も持ち合わせており、2019年2月に『フォートナイト』のゲーム内で行われた世界的アーティストMarshmelloのバーチャルコンサートでは1000万人以上を動員しています。

 

eスポーツとしての盛り上がりも負けておらず、2019年の「FORTNITE WORLD CUP」では16歳のプレイヤーが優勝賞金300万ドル(約4億2000万円)を手にしたことでも話題になりました。

 

●エーペックスレジェンズ(2019年~)

エーペックスレジェンズ公式サイトから引用

 

2019年にリリースされた『エーペックスレジェンズ』は個性的な能力を持つキャラクターを操作して戦場で生き残るバトルロイヤル系FPS。
『PUBG: BATTLEGROUNDS』や『フォートナイト』によってバトルロイヤル系タイトルがコミュニティに浸透していたこと、基本プレイ無料であること、友人と一緒に遊べる3人1組のチームが前提だったことなどが人気を呼び、リリースから8時間で総プレイヤー数が100万人を突破、3日で1000万人、24日で5000万人という驚異のペースを記録しました。

 

2022年11月に始まったeスポーツ大会「Apex Legends Global Series Year 3」では賞金総額500万ドル(約7億円)が用意され、プロだけでなくアマチュアの選手やチームも参加できることから多くのプレイヤーが挑戦しています。

 

●VALORANT(2020年~)

VALORANT公式サイトから引用

 

2020年6月にライアットゲームズがリリースした『VALORANT(ヴァロラント)』は、先述した『Counter-Strike: Global Offensive』のようなタクティカルFPSに分類されるタイトル。
相違点として『VALORANT』のキャラクターには個性的な能力が備わっており、メリハリのあるゲームテンポが魅力です。

 

ライアットゲームズは後述する『リーグ・オブ・レジェンド』で長年培ってきたノウハウとコミュニティを生かし、リリースからたった半年の2020年12月には世界各地で公式大会を実施しました。
2022年4月の世界大会「VALORANT Champions Tour 2022 Stage 1 Masters」では日本代表として出場したZETA DIVISIONが世界3位の快挙を達成し、日本国内の盛り上がりはますます勢いを増しています。

 

◆RTS

RTS(リアルタイムストラテジー)は、プレイヤーがリアルタイムで兵士やユニットに指示を出して敵を倒すゲームジャンルです。
タイトルによって勝利条件は異なりますが、主に敵陣の破壊が目標です。

 

『タクティクスオウガ』や『ファイアーエムブレム』のようなターン制ではなく、リアルタイムで変わる戦況全体を把握して戦略の構築と適切かつ素早い操作が必要になるため、eスポーツ競技として古くから盛り上がっています。

 

以下、eスポーツが盛んなRTSタイトルの一部をご紹介します。

 

●スタークラフト(1998年~)

スタークラフト公式サイトから引用

 

1998年にブリザード・エンターテイメントから発売された『スタークラフト』は、同社の『ウォークラフト』と並んで名作RTSと評されるタイトルです。
プレイヤーは兵士やロボットに攻撃を指示したり、建物を建築して陣地を守ります。

 

特にeスポーツ大国として知られる韓国で絶大な人気を誇っておりプロ選手も多数誕生。
続編『スタークラフト2』を競技タイトルに行われた世界大会「IEM Katowice 2020」では上位8名のうち優勝を含む7名が韓国人選手となりました。

 

●クラッシュ・ロワイヤル(2016年~)

Supercell公式サイトから引用

 

2016年にSupercellからリリースされたスマートフォン向けRTS『クラッシュ・ロワイヤル』
PCでプレイする従来のRTSとは異なり素早い操作は不要に。
事前にデッキを組んだカードをもとにユニットを召喚して敵陣の破壊を目指します。
公式のジャンル呼称は「リアルタイム対戦型カードゲーム」です。

 

奥深い戦略性とスマートフォンでプレイできる気軽さが現代のユーザーに受け、2018年からは毎年「Clash Royale League」が開催されています。
2023年11月にも「Clash Royale League 2023 World Finals」が開催される予定です。

 

◆MOBA

MOBAはMultiplayer online battle arenaの略で、プレイヤーは特定のキャラクターを操作してスキルや能力を手に入れながら敵を倒して敵陣を攻略するゲームのジャンルです。

 

後述しますが、RTSタイトルのMODとして作られたのがMOBAの始まりと言われており、ゲーム性にも若干の類似性が見られます。
RTSはプレイヤーが指揮官となって兵士に指示を出しますが、MOBAはプレイヤー自身が兵士になって敵を倒すという違いがあります。

 

以下、eスポーツが盛んなMOBAタイトルの一部をご紹介します。

 

●Dota(2003年~)

Dota 2 Steamページから引用

 

2003年にブリザード・エンターテイメントが開発したRTS『Warcraft III』のMODとしてつくられた『Defense of the Ancients(DotA)』
それ以前にも現在のMOBAにあたるゲームタイトルは複数存在していましたが、『Warcraft III』自体の人気とMODの完成度が後押しして、MOBAジャンルを確立した作品と評価されています。

 

続編の『Dota 2』はValve Corporationが開発しており、Steamで配信されています。
『Dota 2』の世界大会「The International」はゲーム内アイテムの売上が配分されることなどから高額賞金が出る大会としても知られており、「The International 2021」では賞金総額が4000万ドル(約56億円)を超えたことで大きな話題になりました。

 

●リーグ・オブ・レジェンド(2009年~)

リーグ・オブ・レジェンド公式サイトから引用

 

2009年にライアットゲームズが開発した『リーグ・オブ・レジェンド』は同一タイトルで現在まで続く長寿ゲーム。
2016年9月時点で月間アクティブプレイヤーが1億人を突破し、世界各地でプロリーグが展開されています。

 

160体以上のキャラクターから操作する1体を選び、5対5で敵陣の施設を破壊すれば勝利です。
日本では2014年からプロリーグ「League of Legends Japan League」が開催されており、2023年8月には2023年夏シーズンの決勝戦「LJL 2023 Summer Split Finals」が幕張メッセで行われます。

 

◆デジタルカードゲーム

デジタルカードゲームは、従来のカードゲームをコンピュータゲームとしてプレイできるようにしたゲームジャンルです。
「遊戯王」や「デュエルマスターズ」といったトレーディングカードゲームをデジタル化したものはもちろん、デジタルカードゲームとして新たに開発されたものも存在します。

 

基本プレイ無料のタイトルが多く、お金をかけてカードを用意する必要がある従来のカードゲームよりも敷居が低いことが人気を後押ししています。

 

以下、eスポーツが盛んなカードゲームの一部をご紹介します。

 

●ハースストーン(2014年~)

ハースストーン公式サイトから引用

 

2014年にブリザード・エンターテイメントが開発した『ハースストーン』は、同社が展開する『ウォークラフト』の世界観を引き継いだカードゲームです。
デジタルカードゲームの元祖とも言われているタイトルで、「相手のデッキのカードをコピーして自分の手札に加える」や「自分・相手のデッキから○○を引く」といった従来のカードゲームでは難しい(トラブルになりやすい)処理を導入することで差別化に成功しました。

 

毎年定期的にマスターズツアーと世界選手権を開催しており、ゲーム内で優秀な成績を残せば誰でも参加のチャンスがあります。
世界大会の「Hearthstone World Championship 2020」では日本人のglory選手が優勝、「Hearthstone World Championship 2021」では同じく日本人のPosesi選手が優勝しています。

 

●シャドウバース(2016年~)

シャドウバース公式サイトから引用

 

2016年にCygamesの『シャドウバース』がリリース。
日本が開発したデジタルカードゲームであることや、美麗なカードデザイン、独自のシステムなどが好評を呼び、日本国内では最も人気のあるデジタルカードゲームといえます。

 

賞金総額2億8000万円で行われた「Shadowverse World Grand Prix 2021」では、kakip選手が優勝して日本開催のゲーム大会史上最高額となる1億5000万円を獲得しました。
リリースから7年が経過した現在でも定期的なカード追加やバランス調整が行われています。

 

2記事にわたって紹介してきたeスポーツタイトルの数々ですが、これらはごく一部に過ぎません。
ということは、この世のどこかに必ず楽しめるeスポーツが存在しているということ!
特にスマートフォン向けタイトルは基本プレイ無料が多く誰でも始めやすいので、まずは少しでも気になったゲームをプレイしてみましょう!

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