いよいよプロ野球も開幕間近。2023シーズンのドラゴンズはどんな戦いを見せてくれるでしょうか。野球解説者の井端弘和さんに2023シーズンの展望を3回シリーズで占ってもらいます。1回目のテーマは、レギュラーが白紙状態の二遊間について。現役時代は一軍内野守備走塁コーチを務める荒木雅博さんと「アライバコンビ」と呼ばれる鉄壁の二遊間を形成していた井端さんに、誰と誰の組み合わせがレギュラーにふさわしいのかを考察してもらいました。

※インタビューは1月に実施しました。

主力選手のトレードでドラゴンズが常勝軍団に生まれ変わる！？

立浪和義監督が就任し、巻き返しが期待された2022シーズンのドラゴンズでしたが、66勝75敗2分で最下位という成績に終わりました。

この成績を受けてシーズンオフにチームは改革を断行。勝負強い打撃でチーム一の打点を稼いだ阿部寿樹選手が涌井秀章選手とトレードで東北楽天ゴールデンイーグルスへ、守備力が高く1年目からレギュラーとして活躍した京田陽太選手は横浜DeNAベイスターズへの移籍が決まりました。井端さんはこのトレードに驚きを見せつつも一定の理解を示しています。
「開幕戦にスタメンで出場した二遊間がいなくなってしまうのは、長いプロ野球の歴史の中で初めてのことではないでしょうか。立浪和義監督は昨シーズン途中から、経験を積ませようと若い選手を積極的に起用していましたが、チームを活性化させるため、より鮮明にその方針を打ち出したと言えます。かなり思い切った策ですが、ガラッと主力の顔ぶれが若返ることで、何年後かには常に優勝争いをするようなチームになっている可能性があります」

二遊間のレギュラーの座を争うのは、2022シーズンの後半戦からショートのスタメンとして62試合に出場した龍空選手、昨年のドラフト2位で指名された明治大学出身の村松開人選手、同じく6位で指名された亜細亜大学出身の田中幹也選手、同7位指名のオールドルーキー・福永裕基選手、メジャーリーグでの経験もあるドミニカ出身のオルランド・カリステ選手ら。龍空選手以外は全て2023シーズンから加入したフレッシュな顔ぶれです。

新人2選手の開幕スタメンも>十分に期待できる

レギュラーに一番近いと思われるのは、プロでの出場経験がある龍空選手ですが、井端さんは2023シーズンこそ真価が問われると指摘します。「開幕からスタメンで出るのと、シーズン途中からスタメンで出るのとではプレッシャーのかかり方が全く違います。開幕でスタメンを勝ち取り、1シーズンを乗り切って初めて本当の意味での自信が持てるはず。彼にとって今年は大事なシーズンになると思います」

もし監督なら3人のルーキーの中で一番使いたいのは誰？こんな質問に井端さんは村松選手の名前を挙げました。

「それほど大きくありませんが、体に力があります。バッティングの形も良いですね。ずっと使い続けると2〜3年後には安定した成績が残せる選手だと思います。ドラフトの指名順が上位だということは、使うつもりがあるということではないでしょうか」

意外と言ったら失礼ですが、井端さんの評価が高いのがカリステ選手。「守備はうまい」と太鼓判を押しています。外国人枠の問題で出場する機会は限られることになる見込みですが「せっかく獲得した選手ですし、使わないのはもったいない」と指摘。WBCでキューバ代表が勝ち進めば、ライデル・マルティネス選手とジャリエル・ロドリゲス選手が開幕に間に合わない可能性も。その場合は「カリステを開幕スタメンで使っても面白いと思います」

もちろん田中選手、福永選手もポジションを奪うだけの能力を持っています。亜細亜大学の後輩に当たる田中選手について井端さんは「母校の後輩だし、楽しみにしています。動きが良いので十分に一軍でもやっていけるのでは」と期待感を示しました。一方、福永選手に関しては「長打力があり、足もそこそこ速い。バランスの取れた選手ですね」とこちらも高く評価をしています。

名前の挙がった5人のうち、開幕スタメンの座を掴むのは誰になるのでしょうか。井端さんは希望を込めて次のように語りました。

「開幕スタメンで二遊間が2人ともルーキーなのは、長いプロ野球の歴史の中でも初めてのことではないでしょうか。セカンド村松選手、ショート田中選手がスタメンで出たら、ドラゴンズは変わったという印象を与え、話題にもなるので面白いのでは。十分にあり得る話だと思いますよ」

一体誰が起用されるのか。2023シーズンは激しい二遊間のレギュラー争いから目が離せそうにありません。