1月8日に新体制発表を行い、2023シーズンをスタートさせたグランパス。得点力不足に終わった昨シーズンの反省を踏まえ、元デンマーク代表のキャスパー・ユンカー選手を獲得するなど、強力な布陣を整えました。前編ではまずタイトル奪還のキーマンとなる新戦力について、グランパスOBの増川隆洋さんに分析してもらいました。

（後編はこちら）

各ポジションに的確な補強　派手さはないものの戦力は確実にアップ

IN：キャスパー・ユンカー選手、米本拓司選手、和泉竜司選手、山田陸選手、野上結貴選手、ターレス選手、行徳瑛選手、三井大輝選手

OUT：相馬勇紀選手、柿谷曜一朗選手、吉田豊選手、宮原和也選手、永木亮太選手、レオ・シルバ選手、成瀬竣平選手、仙頭啓矢選手、阿部浩之選手、吉田晃選手、チアゴ選手、渋谷飛翔選手

2023シーズンに退団する選手・加入する選手は上記の通り。新たに8選手が赤いユニホームに袖を通すことになりましたが、相馬選手や柿谷選手など加入より多い12選手が他クラブへと移籍することになりました。

こうした補強の状況について増川さんは「ポジション的にやや手薄なところもありますが、堅実な補強ができたのではないかと思います」と評価します。

特に評価するのがユンカー選手の獲得。増川さんも驚いたと言います。「ストライカーの補強は最重要課題。まさかユンカー選手が加入するとは思ってもいなかったです。シーズンの最初から軸となるストライカーがしっかりいるということはプラスだと思います」と増川さん。「今の段階ではなんとも言えませんが、３０ゴールで終わった去年のようなことはないと思いますよ」と期待感を示しました。

ユンカー選手のほかは、派手さはないものの各ポジションの退団した選手の穴を埋めるようなポイントを押さえた補強ができたと増川さんは評価します。「サイドの人材が少ないかなと思いますが、悪くない補強ではないでしょうか」

J3で苦労した山田選手に期待 増川さんによる新戦力分析

では、新たに加入した選手達はどんな特徴を持っているでしょうか。主だった選手について増川さんに語ってもらいました。

キャスパー・ユンカー選手

元デンマーク代表のFW。2021年に浦和レッズに加入し２シーズンで42試合に出場し16得点をマークしています。ラーメン好きとして有名で、名古屋でも美味しいラーメン屋を探していると話題となりました。

「裏への飛び出しにセンスとスピードを感じます。縦１本のパスで抜け出しチャンスを作る場面が増えるのでは。そうなると相手のラインが下がり、中盤の選手が押し上げられるので、得点チャンスが増えると思います。彼に点を取れれば、自ずとチームの成績は上がっていきますよ」

米本拓司選手

2022シーズンは湘南ベルマーレへ期限付き移籍をしていましたが、2023シーズンからグランパスに復帰。中盤の底で相手からボールを奪取する能力は健在です。

「イメージ的にはスタメンではありません。2022シーズンの永木選手のように１点勝っている時などに、守備を強化するために入るクローザー的な役割を期待されていると思います」

和泉竜司選手

鹿島アントラーズから４年ぶりにグランパスに復帰したMF。2017シーズンは、左サイドバック、左ウイングバック、ボランチ、インサイドハーフ、ウイング、ストッパーと６つのポジションで起用されるなど、ユーティリティーな能力を発揮しました。

「ボールが足元にある時に能力を発揮できるタイプ。去年の名古屋は、スピードに乗った時は勢いのある攻撃ができていましたが、遅攻がうまく行ったとは言えませんでした。そこで彼のスキルが生きるのでは。チャンスメーカーとして期待しています」

山田陸選手

ヴァンフォーレ甲府から移籍したボランチ。ボール奪取能力と展開力が魅力の24歳です。

「J2の選手なのであまり見たことがありませんが、若くてボールを捌ける選手という印象があります。しっかりボールを動かす甲府の心臓部として2022シーズンはほぼフル出場。真ん中にいた選手なのでしっかりできるという印象です。稲垣選手の相棒は彼ではないでしょうか。J3へレンタルされるなど苦労してきたと思うので、個人的には頑張ってほしいですね」

野上結貴選手

サンフレッチェ広島から移籍したDF。堅実な守備力に定評のある選手です。「広島では３バックの右をやっていて、３バックには慣れていると思います。おそらくスタメンで起用されるのではないでしょうか」

彼らが力を発揮すれば、それだけグランパスがタイトルに近づくということ。どんな活躍をしてくれるのか今から楽しみです。

（予想フォーメーション編はこちら）