井端が斬る! ドラゴンズ2022 野手陣編

井端が斬る! ドラゴンズ2022 野手陣編

現役時代は鉄壁の守備としぶとい打撃で黄金期のドラゴンズを支えた井端弘和さんが2022シーズンのドラゴンズの戦いぶりを3回に渡って振り返る企画の第2弾。前回の投手陣に引き続き、今回は野手陣についてたっぷり語ってもらいました。

※本インタビューは2023年1月に実施いたしました。


第1回はこちら

チャンスは作るのに得点が奪えなかった打撃陣

打率 .247(4位)

得点圏打率 .237(6位)

得点 414点(6位)

本塁打 62本(6位)

盗塁 66個(3位)

三振 956個(2位)

四球 323個(6位)

長打率 .341(5位)

出塁率 .301(5位、阪神と同率)

「投手陣は良いだけに、もう少し打撃が良ければ、最下位にはならなかったのでは」。2022シーズンのドラゴンズに対しては、こんな声をよく耳にしました。実際に2022シーズンの主なチーム打撃成績を見ると、投手陣の成績と対照的。特に得点はチーム得点数5位の阪神タイガースと比べても75点、優勝した東京ヤクルトスワローズにはなんと205点もの差をつけられてしまっています。得点できなかったことが、最下位に終わった大きな要因の一つだと、井端さんも話します。

「打てないのは確かですが、チーム打率を見ると2割5分近くは打っています。チャンスはそれなりに作りましたが、点を取るのが上手ではなかったという印象ですね。ここでゴロを打てば1点入るのに打ち上げてしまうとか、三振だけはダメな場面で三振をしてしまうとか、打者が何をすれば良いか明確に分かっていないという場面が目立ちました。そういう場面でどう点を取るのかがベンチワーク。狙い球を絞るなどの対策も十分に行っていたとは思いますが、結果を見る限りうまく機能したとは言えません。頭の整理ができないまま打席に入り、結局打てずに終わってしまう選手が多いと解説をしていても感じました」

それでは、どうしたらチャンスで結果が出せるようになるのでしょうか。現役時代、勝負強い打撃に定評のあった井端さんは、2022シーズンのドラゴンズの選手に足りなかったのは割り切りだと指摘します。

「振る力がないからと若い選手が闇雲にバットを振っているのを見かけます。もちろん振る力は大切ですが、それで打てるようになったら苦労はしませんよ。ボール球には絶対に手を出さない選球眼と狙った球を1球で仕留める打撃技術を練習で身につける必要があると思います。とんでもないボール球に手を出してしまう人は、結果を欲しがって『とにかくバットに当てなければ』という思いが強すぎる人。心に余裕を持って打席に入れていない証拠です。

2022シーズンのドラゴンズの打者は、チャンスになるほどこうなる傾向が強かったように思います。

極端な話ですが、変化球は打てなくても1打席に1回は投げてくるストレートだけは絶対に芯で捉えられるような技術を持っていれば、狙った球を仕留めることに集中すれば良いので、打席で焦る必要はないはず。なんでも打とうとするから打てる球も打てなくなるのです。『狙い球以外は見逃し三振でも良いから振らなくて良い』というくらい割り切った指示をベンチが徹底してもよかったかもしれませんね」

プロ3年目の岡林が大ブレーク 2023年は同い年の石川昂弥の覚醒に期待

打線は低調に終わってしまいましたが、そうした中でも明るい兆しが見られたのも事実。それは若手の成長です。立浪和義監督はプロ入り3年目、ドラフト同期入団の岡林勇希選手と石川昂弥選手を我慢強く使い続けました。

特に岡林選手は142試合とほぼフル出場し、打率.291、盗塁24、安打数161の好成績をマーク。最多安打のタイトルを獲得したほか、ベストナインとゴールデングラブ賞にも輝いています。

「入団した時から打撃の形ができていたので、いつかは出てくるだろうとは思っていました。レギュラー1年目でまさかタイトルを取るまでになるとは思っていなかったですが。2023シーズンは、相手チームのマークもきつくなり、2年目のジンクスが心配されますが、岡林選手に関してはそんなに心配する必要はないと思っています」と井端さんも絶賛する活躍ぶりでした。

一方の石川選手も7番三塁手で開幕スタメンの座を勝ち取ると、徐々にプロのスピードにも慣れ、持ち前の長打力を発揮するようになりましたが、5月27日のオリックス・バファローズ戦で左膝を負傷。そのまま戦列に戻ることなくシーズンを終えています。

「7番でスタートし、その後は徐々に打順を上げていき、3番を打ったこともありましたね。これからという矢先にケガをしてしまったのが、本当にもったいない。どんな成績でも良いので1シーズン試合に出続けることができれば、おそらくものすごく成長したはずです。鈴木誠也(シカゴ・カブス)のような選手になれるポテンシャルを持った選手なので、ケガだけは気をつけてもらいたいですね」

得点することに苦しむ一方で、若手の底上げが感じられた2022シーズンのドラゴンズの打撃陣。このまま黙っているつもりはないはず。2023シーズンの巻き返しに期待しましょう。

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