
第6回『岐阜の栗きんとん』
目次
岐阜県の栗(くり)きんとん。おせちとのちがいは?

岐阜県の栗きんとんは、江戸時代に生まれた和菓子!
「栗きんとん」には、岐阜県の郷土菓子(きょうどがし)で知られる「栗金飩(くりきんとん)」と、おせち料理のひとつで栗に甘いあんをまとわせた「栗金団(くりきんとん)」があります。
岐阜県で親しまれる栗金飩は、炊(た)いた栗に砂糖(さとう)を加え、うらごし(細かいあみを使ってすりつぶすこと)してなめらかにした栗を「茶巾絞り(ちゃきんしぼり、茶道で使われる布などで包んで形を整えること)」で栗の形にした和菓子です。
栗金飩の歴史は、江戸時代までさかのぼります。岐阜県東濃(とうのう)地方の、山のある地域(ちいき)では、昔から恵那栗(えなぐり)が多く収穫(しゅうかく)されていました。家庭で栗を保存(ほぞん)するためには、加工しても日持ちがするような工夫が必要。そこで、栗を和菓子に加工し、栗金飩が生まれたというワケです。
いっぽうで、明治時代になると関東地方で栗金団が登場します。金色の見た目から、縁起(えんぎ)のいい「金運の上がる食べ物」と考えられ、正月のおせち料理として食べられるようになりました。
その後、昭和時代には食品を加工する技術が進み、遠くの地域へ食品をとどけられるように。こうして、栗金団は全国へと広まっていったのでした。
「恵那川上屋(えなかわかみや)」で栗きんとんを食べよう
岐阜県ならではの和菓子として人気の栗きんとん。栗が旬(しゅん)をむかえる秋に、本場の栗きんとんを食べに行ってみませんか?栗きんとんが生まれたとされる東濃地方の恵那市や中津川市では、毎年9月から次の年の1月までの約4カ月の時期に、栗きんとんを販売するお店が数多くあります。
栗を使った和洋菓子を幅広く販売(はんばい)する恵那市の「恵那川上屋」でも、8月下旬~10月中旬ごろの恵那栗の収穫に合わせ、9月から1月まで栗きんとんが登場します。素材へのこだわりを大切にし、恵那栗を収穫した後は、ていねいな下準備を行うことでとれたてのおいしさをにがさずに保存。
そして「おばあちゃんが作る栗きんとん」のなつかしい味をイメージし、手間をおしまない伝統的な作り方を心がけています。栗と砂糖だけのシンプルな材料だからこそ、栗そのものの味をしっかりと感じられますよ。
さらに栗の味は、収穫する時期によってもちがいがあります。時期ごとに食べ比べて、好きな味を見つけるのもおすすめですよ。
時期による栗のちがい
- 8月下旬から9月下旬ごろ…みずみずしく、さっぱりとした味わい
- 9月下旬から10月上旬ごろ…バランスのいい栗の風味が楽しめる
- 10月上旬から中旬ごろ…濃厚な甘さがつまった実が特徴
栗をたっぷり使ったスイーツも味わえる!
恵那川上屋は「恵那峡(えなきょう)店」や「高山花筏(たかやまはないかだ)店」など、岐阜県内の観光地にもお店があります。岐阜県をおとずれたときには、おみやげに栗きんとんを買っていきませんか?
「恵那峡店」「高山花筏店」「瑞浪(みずなみ)店」「咲久舎 可児御鷹(さくや かにみたか)インター店」には、栗を使ったスイーツが食べられるカフェもあります。旅のひと休みに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
岐阜県で親しまれてきた栗金飩は、栗が多くとれる地域の特徴を生かして生まれた和菓子でした。そんな栗金飩とは、生まれたきっかけはもちろん、食感や味わい、食べるシーンもちがうのが、おせち料理の栗金団です。
同じ名前でありながら、別の食べ物として日本全国で知られるようになった「栗きんとん」。岐阜県をおとずれたときは栗金飩を、お正月には栗金団を食べて、ちがいを感じてみてくださいね。
ランランちゃんの
今日のまなび
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岐阜県の栗金飩とおせち料理の栗金団は、作り方や食感がちがう食べ物
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岐阜県東濃地方でとれる恵那栗を日持ちさせるために、和菓子の栗金飩が生まれた
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栗を収穫する時期によって、栗金飩の味の変化が楽しめる
取材協力
参考文献
・岐阜県観光連盟ぎふの旅ガイド
https://www.kankou-gifu.jp/gourmet/6415/