第22回『手羽先』
目次
名古屋名物の手羽先は失敗から生まれた!?
手羽先って鶏肉(とりにく)のどの部分?
手羽先は、全国で食べられている鶏肉の部位のひとつ。ところが名古屋で「手羽先」といえば、「なごやめし」として名物になった手羽先の唐揚げを指すことが多いです。
手羽先は羽の先にあり、翼(つばさ)のうち先端(せんたん)に近い部分。人間でいうと、ひじから指先にあたり、関節があるため特徴的な L 字の形になっています。
ゼラチン質と脂肪(しぼう)が豊富でうま味のある部分ですが、肉が少なく皮がついているため、かつてはスープのダシや動物用のえさとして使われていました。
では、どうして肉の少ない手羽先を使って、唐揚げをつくることになったのでしょうか?
実は失敗から生まれた大人気グルメ!
手羽先の唐揚げの元祖は、名古屋を中心に展開(てんかい)する「風来坊(ふうらいぼう)」だと言われています。
創業者(そうぎょうしゃ)である大坪健庫(おおつぼけんこ)さんは、もともとは九州で小さな店を営んでいました。そこで、若鶏(わかどり)の半身をそのまま揚げて焼き、こだわりのタレをつけた「ターザン焼」というメニューを開発。名古屋にやってくると、風来坊の第1号店をオープンさせました。
店の看板(かんばん)メニューだったターザン焼。ところがある日、注文ミスが発生し、ターザン焼に使う丸鶏が仕入れられない事態におちいってしまいます。店を開くことすらままならないほどピンチな状況(じょうきょう)のなか、大坪さんがひらめいたのが、あまり物の手羽先を使うことでした。
当時はスープの材料でしかなかった手羽先。ところがターザン焼と同じように揚げて、タレをつけた手羽先の唐揚げとしてメニューに加えたところ、予想以上の売れ行きに。ターザン焼よりも手軽で安く、さらにおいしい手羽先の唐揚げは、なんと No.1 の人気メニューへと成長しました。
その人気が広がり、現在では名古屋の多くの居酒屋や飲食店が手羽先の唐揚げを提供(ていきょう)するようになったと言われています。
揚げたての手羽先を食べに行こう!
名古屋で食べられる手羽先の唐揚げは、味付けもさまざまです。コショウがきいたスパイシーな味や、タレがたっぷりついた甘めの味など、店によってちがうので食べ比べもおすすめ。テイクアウトやお取り寄せグルメとしても人気で、家でも手軽に楽しめるのが大きな魅力(みりょく)です。
風来坊の「元祖手羽先唐揚」は、居酒屋メニューとしてだけではなく、食事やおやつとして幅(はば)広い世代に親しまれています。手羽先の唐揚げを生むきっかけとなったターザン焼は、今でもメニューに残っています。ターザン焼を食べて、名古屋名物の歴史を感じてみるのもいいですね。
手羽先には骨(ほね)があるので、肉を残さずきれいに食べる方法がたくさんあります。骨と肉が離(はな)れやすい、温かいうちに食べるのがポイント。ぜひ揚げたての手羽先の唐揚げを店で味わってみてくださいね!
名古屋流!手羽先をきれいに食べる方法(一例)
- 両端をつかんで関節の端(はし)を取りのぞく
- 取りのぞいた関節側から全体をパックリとくわえる
- 身からはがすように骨を抜き出し、肉だけひと口で食べる
ランランちゃんの
今日のまなび
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手羽先はもともとスープに使われるような部位だった
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丸鶏の代わりにあまり物の手羽先を使ったことがきっかけで、人気メニューに成長した
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居酒屋メニューだけではなく、食事やおやつとして親しまれている
取材協力
風来坊
名古屋を中心に全国展開(てんかい)するチェーン店。「飲み処(どころ)」ではなく「お食事処」として、幅広い世代が楽しめる料理を提供しています。名物の「元祖手羽先唐揚」はテイクアウト品としても人気。

なごやめし普及促進協議会
「なごやめし」の魅力(みりょく)をPRし、国内外の観光客をよびこむために活動。豆知識や、家庭でまねできるレシピなどをホームページやSNSで紹介(しょうかい)しています。