
第13回『白川郷』
目次
世界遺産(いさん)の白川郷ってどんなところ?
昔話のような世界が広がる合掌造り集落
まるで過去にタイムスリップしたかのような日本らしい風景を見に、国内外問わず多くの観光客が訪れる白川郷。伝統的な農村文化やくらしを深く感じることのできる「日本のふるさと」のような場所とも言われているんです。
合掌造りって何だろう?
- 木材を山形に組み合わせて建築された、かたむきの急な「茅葺屋根」を持つ住居のこと
- 白川郷では「切妻(きりづま)合掌造り」と言われ、本を開いて立てたように三角形になった屋根が特徴(とくちょう)
- 合掌造りは日本の一般(いっぱん)的な民家とちがい、屋根うらのスペースを作業場として活用していることが多い
昔の人はどんなくらしをしていたの?
白川郷にいつから人が住み始めたのか、はっきりしていません。しかし昔の人たちは、広い屋根うらの空間で蚕(かいこ)を飼い、きぬ糸の生産で生計を立てていたようです。2階以上のスペースは作業用に、1階は生活をする空間として使っていました。大家族になると、家の持ち主、兄弟、使用人家族など数十人が1軒(けん)の家にくらしていたそう。これは土地がせまいため家を分けて作れなかったことに加え、ねる間もないほど重労働な養蚕業(ようさんぎょう)では、人手が必要だったからと言われています。
合掌造りは、1階のいろりから出たけむりが2階のすき間を通り、茅葺屋根からぬける構造。けむりは害虫の侵入(しんにゅう)や家の腐敗(ふはい)を防ぐ効果があります。そのため、昔の人たちはいろりの火を毎日絶やさず灯し続けていました。
守り続ける今も昔も変わらない美しい風景
白川郷では、今でも実際に人がくらしを営んでいます。それでもなお、昔から変わらない美しい景色を保っている秘訣(ひけつ)は何でしょうか。
それには、1971(昭和46)年に住民保存会が決めた「売らない、貸さない、こわさない」の三原則が大きく影響(えいきょう)しています。1軒の民家に対して20~30年に一度、合掌造りの茅葺屋根をふきかえる取り組みが、現在も続いていることも理由のひとつ。村全体で協力することで、次の世代へ生活の知恵(ちえ)などを受けつぐきっかけの場にもなっています。
この取り組みは、地域(ちいき)に根づく住民同士の助け合いの精神「結(ゆい)」から来ているもの。世界遺産に登録された際、「結」も高い評価を得たと言われています。白川村の住民たちは、一年を通して起こる行事やさまざまな困難(こんなん)をいっしょに乗り越(こ)えることで、おたがいに助け合う関係を築いていきました。
ぜひ白川郷の展示施設(てんじしせつ)や見学できる民家へおとずれて、当時の人たちのくらしや歴史を学びましょう!
幻想(げんそう)的な景色を楽しもう!
- 毎年1〜2月にライトアップが行われる
- 昼間とはちがった白川郷のすがたが見られる
- 2023(令和5)年「第37回 白川郷ライトアップイベント」は、1月15日(日)、1月22日(日)、1月29日(日)、2月5日(日)、2月12日(日)、2月19日(日)に開催(かいさい)予定(完全予約制)
ランランちゃんの
今日のまなび
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白川郷は合掌造りの家がならぶ日本の原風景が残る場所
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当時の人は、広い屋根うらのスペースで養蚕業を営んでいた
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合掌造りは害虫の侵入や家の腐敗を防ぐなど、生活の知恵がつまっている