井端が斬る! ドラゴンズ2022 全体編

井端が斬る! ドラゴンズ2022 全体編

現役時代は鉄壁の守備としぶとい打撃で黄金期のドラゴンズを支えた井端弘和さんが2022シーズンのドラゴンズの戦いぶりを3回にわたって振り返る企画の第弾。今回はチーム全体の戦いぶりについて語ってもらいました。「井端が斬る!」というタイトルとは裏腹に「最下位と言っても悲観するような内容ではなかった」と前向きに総括をしてもらいました。

※本インタビューは2023年1月に実施いたしました。

 

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本拠地開幕3連戦での3連敗がシーズン中ずっと尾を引くことに

井端さんに話を伺う前に、まずは2022シーズンのドラゴンズを駆け足で振り返ってみましょう。

読売ジャイアンツに連敗スタートとなった立浪ドラゴンズが初白星を挙げたのは、開幕3戦目。この日も初回に4失点するなどリードを許す苦しい展開でしたが、8回、9回、10回に各2点を奪う粘りを見せ逆転勝ち。勢いに乗って本拠地開幕戦を迎えましたが、横浜DeNAベイスターズにまさかの3連敗を喫しました。

その後すぐに2度の4連勝で貯金を3にまで伸ばしたと思いきや、逆に3連敗してしまうなど安定感を欠きながらも、3〜4月は勝率5割とまずまずの成績で終えることができました。5月に入っても勝ったり負けたりを繰り返していましたが、5月17日のベイスターズ戦を皮切りに7連敗。チームは苦しい状況に陥ります。

そのまま迎えた交流戦では、はじめはオリックス・バファローズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバンクホークスと3カード続けて勝ち越し、浮上のきっかけを掴んだように見えました。ところがその後、千葉ロッテマリーンズと北海道日本ハムファイターズに6連敗を喫し、球団ワースト記録となる交流戦11位という結果に終わりました。リーグ戦再開後にも6連敗するなど、なかなか思うように勝てなくなり、前半戦は借金12のリーグ最下位で折り返すこととなりました。

後半戦、立浪和義監督はショートのスタメンに2年目の土田龍空選手(現登録名は龍空)を抜擢するなど、若い選手を積極的に起用。育成から支配下契約を勝ち取った上田洸太朗選手はプロ初白星を挙げるなど、若手の成長という明るい話題も多くありましたが、結局は最下位でシーズンを終えています。

「優勝した東京ヤクルトスワローズには15ゲーム差をつけられましたが、3位の阪神タイガースとの差は3ゲーム。うまく戦えれば十分にAクラスに入れました。チームの調子が上がってきたと思ったら、連敗して沈んでしまうの繰り返しでした。立浪監督もシーズン途中からは次のシーズンを見据えて若手を積極的に使うようになったことも勝ち星が伸びなかった理由の一つ。最下位だからといって、悲観するような内容ではないと思います」と井端さんは振り返りました。

とはいえ、最下位に終わったのは事実。どうすれば上位に食い込むことができたのでしょうか?

井端さんはシーズン序盤の戦い方がポイントだと指摘しました。

「本拠地開幕3連戦でベイスターズに3連敗したのが痛かったですね」

開幕2カードで1勝5敗。シーズンが始まっていきなり借金を背負ってしまったことが、その後の戦い方を難しくしてしまったようです。

「セリーグ6球団は実力差がそれほどないので、負け越していてもある程度返すことはできますが、どうしても時間がかかってしまいます。2022シーズンでいえば阪神が良い例。最終的には3位になりましたが、開幕からの連敗があまりにも大きかった。そこを5割で乗り切れていればもっと良い成績を残せていたのでは。借金があるとそれを返すために無理をしてしまい、そのツケがどこかで回ってくることになるので、序盤から貯金をして余裕を持って戦うことがペナントレースを有利に運ぶ秘訣です」

リーグVのスワローズに4つの勝ち越し 優勝するだけの力は持っている

ドラゴンズの2022年チーム別勝敗

対スワローズ 14勝10敗1分

対ベイスターズ 6勝18敗1分

対タイガース 12勝13敗

対ジャイアンツ 12勝13敗

対カープ 15勝10敗

交流戦 7勝11敗

先ほど井端さんから「セリーグ6球団に実力差はない」という話がありましたが、2022シーズンのチーム別成績を見ると、その言葉にも納得。ドラゴンズは最下位だったにもかかわらず、21もの貯金を作って優勝したスワローズに4つの勝ち越し。カープには5つ勝ち越し、タイガースとジャイアンツにはほぼ互角に戦ったことを考えると、交流戦終盤での6連敗と12も負け越したベイスターズとの戦いに悔いが残ります。

「同じ相手に12も負け越すとはちょっと考えられません。ドラゴンズは広いバンテリンドーム ナゴヤを本拠地としているため、もともと横浜スタジアムや神宮球場など屋外の狭い球場は苦手にしていますが、得意なはずの本拠地で3連敗したために、勝手に苦手意識を作ってしまいました。仮にベイスターズ戦を5割で乗り切っていたとしたらドラゴンズが2位になっているはずです」

苦手を作らないためにも、井端さんは投手力を前面に押し出した野球をするべきだと改めて訴えました。

「立浪監督は試合の序盤はある程度打って点を取ろうとしていましたが、初回からでもバントをして、とにかく先に1点を取る野球をするべき。その野球ができれば、2023シーズンはドラゴンズが優勝すると思います」

井端さんの話を聞いていると、なんだか希望が出てきますね。もちろん2023シーズンの展望もたっぷりと伺っているので、次回からの「井端が見る」シリーズもぜひご期待ください!

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